「就労継続支援a型」とは、就労機会の提供や訓練を実施するサービスのことであり、病気や障がいなどにより一般就労が難しい人を対象にしています。
就労継続支援a型は、障害者総合支援法で定められた国の就労支援サービスの一つであることから、事業所と利用者が雇用契約を結ぶための「雇用型」とも呼ばれているのです。
しかし、就労継続支援A型は一般企業で働くよりも賃金が低いという特徴があることから、物価高である現代での生活ができるのだろうかということが懸念されています。
そこで今回は、就労継続支援a型の詳細について迫ってみましょう。
就労継続支援a型では生活できない?
就労継続支援a型のサービスを受け、得られる収入の平均は6~10万円といわれています。
総務省統計局の家計調査(2022年)によれば、1人暮らしをするに当たって必要な生活費は月平均で161,753円といわれており、就労継続支援a型での収入だけでは生活できない可能性が高いでしょう。
また就労継続支援a型で就労している場合は副業やアルバイトが原則できないため、最低生活費に収入が満たない場合は、生活保護や障がい者年金を受給しながら就労継続支援a型に通うことは可能です。
つまり、就労継続支援a型だけでの収入で生活することは難しいですが、他の公的扶助を受けることができれば生活はできるでしょう。
就労継続支援a型では生活できないのではと不安になる要因
就労継続支援a型では生活できないのではと不安になるのはなぜでしょうか。
その背景には、賃金の水準が低いということや副業・アルバイトなどが原則できないというデメリットもあります。
そこで、就労継続支援a型のサービスを受けるに当たり、生活ができないのではと不安になる要因について見ていきましょう。
就労継続支援a型事業所の給料について
就労継続支援a型事業所に通い、得られる収入の平均は6~10万円程度といわれています。
一般企業に勤めるよりも賃金の水準が低いため、この収入で生活できるかといえば難しいといえるでしょう。
ただし、一般企業のフルタイムで仕事をするよりは勤務条件が緩く、身体の状態に合わせて就労することができるため、強いストレスを抱えるようなことは軽減されます。
そもそも病気や障がいなどで一般企業に勤めるのが難しい方が受けられる国の福祉サービスであり、就労時間もフルタイムよりは短かったり勤務日数も3~5日程度となっていることから、そこまで多くの収入は見込めません。
就労継続支援a型事業所の収入で一人暮らしする場合
就労継続支援a型事業所での収入で一人暮らしをする場合は、生活保護や障がい者年金を活用して最低限の生活費を得るということができます。
就労継続支援a型のサービスを受けている間は、生活費が足りないからといって副業やアルバイトなどができません。
そうなると、就労継続支援a型の収入だけでは一人暮らしをすることは難しくなってしまいます。
そこで、生活保護や障がい者年金を受給しながら生活するという方法をとります。
一般的に生活保護は働いていると受給できないといわれていますが、実際は働いているからといって生活保護が受給できないわけではないのです。
生活保護の受給は「働いているか」や「安定収入があるか」ではなく、「あらゆる手段を尽くしても国が定める最低生活費より収入が少ないか」が判断基準であるからです。
つまり、病気や障がいがあって一般企業に勤めることが難しい方が就労継続支援a型事業所を利用し、生活最低限の収入が得られない場合は、生活保護を受給して最低限の生活費を得ることができます。
就労継続支援a型事業所をクビになる可能性
就労継続支援事業は国の福祉サービスのため、普通に働いている限りはクビになることはめったにありません。
ただし、就労継続支援a型事業所にも一般企業と同じように「事業所独自の解雇になる規約」があります。
例えば、他の利用者の迷惑になる言動が著しく多かったり、勤務態度が悪く集中して作業に取り組むのが困難と判断された場合など、事業所の規約を違反すれば解雇になる可能性があり得るのです。
しかし、強制的に即解雇になることはめったにありませんので、そこは安心できるでしょう。
就労継続支援a型で働いても障害年金はもらえる?
就労継続支援a型で働きながら障害年金を受給することはできます。
障害年金とは、「病気やケガによって日常生活や就労に支障がある方が受け取れる年金」のことです。
一般的に働いていると障害年金がもらえないと思われている方もいますが、実際のところは働いていても障害年金はもらえます。
就労していること自体は審査に影響することがありますが、日常生活や就労状況から判断して、「病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになった」と判断された場合は、障害年金を受給できる場合があるのです。
就労継続支援a型で働くということは、病気や障がいによって一般就労が難しいから受けられるサービスであるため、その点を考慮して障害年金を受給することができるでしょう。
就労継続支援a型で働いた場合ダブルワークはできる?
就労継続支援a型で働きながらのダブルワークは原則認められません。
就労系サービスは一般就労が困難な方を対象としているため、副業やアルバイトができる場合は、就労系サービスを受けることになじまないからです。
つまり、ダブルワークができるだけの能力があるのであれば、就労継続支援a型の支援を受けなくとも生活できるだろうと見なされてしまいます。
そのため、ダブルワークは原則認めないとされているのです。
就労継続支援a型の体験利用について
就労継続支援a型事業所では、利用を検討している人向けに事業所の見学や体験を受け入れているところがあります。
見学や体験利用をすることで、Webサイトやパンフレットだけでは伝わりにくい事業所スタッフの雰囲気やプログラム・サポート内容などを体感することが可能です。
病気や障がいによって働けるのだろうかと不安な場合は、体験利用ができるかどうか問い合わせてみると良いでしょう。
就労継続支援a型事業所は休めないの?
就労継続支援a型事業所に勤めると休むことができないかといえば、休むことは可能です。
用事がある日に休んだり、遅刻や早退したりすることもできます。
就労継続a型事業所は就労場所であるのと同時に福祉サービスでもあるため、欠勤に関しては一般企業よりも柔軟に対応してもらえる場合が多いです。
そのため、病気や障がいなどによって体調面に不安がある方も、無理なく通うことができるでしょう。
就労継続支援a型のメリット
就労継続支援a型で働くメリットは以下の通りです。
- 病気や障がいがあっても働くことができる
- 最低賃金額以上の安定した収入が見込める
- 利用者の適性を考慮しながら仕事の内容や量を調整してもらえる
- 残業や休日出勤がない
- 無理なく働ける
病気や障がいなどによるリスクがあり一般就労ができなくても、就労継続支援a型を利用できれば、直ぐに収入を得ることができます。
また、無理なく働きながら最低賃金以上の安定した収入が見込めるというのも大きなメリットでしょう。
就労継続支援a型のデメリット
就労継続支援a型のサービスを受けることによって考えられるデメリットは以下の通りです。
- 一般就労よりも給料が少ない
- 生涯賃金が低くなる
- 就労移行支援に比べると十分なサポートを受けることができない
- 就労継続支援a型事業所で働くための利用料が発生する可能性がある
- 週3~5日は安定して就労することが必要となる
大きなデメリットとして挙げられるのは、給料が少ないことです。
残業で稼ぐということはできないため、それ以上の収入が見込めません。
また、就労継続支援は「就労の機会を障害者に与えること」や「知識や能力の向上」を目的としたサービスであるため、就労移行支援のように就職支援は手厚くないということもあります。
病気や障がいの度合いによっては週3~5日も働くことが難しいこともあるため、サービスを利用する前には必ず自分の体調を含めて相談した方が良いでしょう。
就労継続支援a型事業所が向いている人は?
就労継続支援a型事業所は、以下のような方に向いているといえます。
- 今すぐ企業などで働くのが難しい方
- 国の支援を受けながら働きたい方
- 病気や障がいはあるけれど社会参加したい方
- 給料をもらいながら就労訓練も行いたい方
就労継続支援a型事業所は、病気や障がいなどによって一般就労は難しくとも、無理なく働いて最低限の収入を稼ぎたいという方には向いているサービスです。
就労継続支援a型事業所の利用を検討したい場合は、お住まいの地域にある市町村役場へ相談してみると良いでしょう。
「就労継続支援a型 生活できない」を検索する人がよく思う質問4選
まとめ:上手に就労継続支援a型事業所を利用しよう
病気や障がいを持っていても、社会で働きたいという場合は就労継続支援a型事業所を利用してみましょう。
就労継続支援a型事業所は、一般企業で働くよりも体調面などを考慮してくれるため、無理なく働くことができます。
働いて収入を得ることができれば、自分の存在意義を感じることや達成感を味わうこともできます。
ただし給料が少ないことは否めないので、生活するに足りないという場合は、生活保護の受給申請を行ったり障害がある場合は障害年金の受給申請を行って補填すると良いでしょう。
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