乳酸菌は腸内環境の改善や健康促進に役立つとされていますが、具体的な効果や違いは分かりにくいものですよね。
そこで、この記事ではny1301株とシロタ株という代表的な乳酸菌に焦点を当て、その効果や違いについて詳しく解説していきます。
便秘や睡眠の質に悩んでいる方にとって、どちらが適しているのか気になるところでしょう。
さまざまな観点から比較し、それぞれの特徴やおすすめの商品についてもご紹介します。
乳酸菌の効果的な活用法を知りたい方は、ぜひこの記事をお読みください。
乳酸菌ny1301株とシロタ株の効果の違いは?
ny1301株とシロタ株は、どちらも「ラクチカゼイバチルス カゼイ」という種類の乳酸菌です。
2020年にラクトバチルス族の細菌の種類が分類され直すまでは「ラクトバチルス カゼイ」と呼ばれており、この種類名なら聞き覚えのある方もいらっしゃるかもしれません。
種類が同じだけあって、両方とも「生きたまま腸に届き、腸内環境を整えてくれる」という特徴を持っています。
特にシロタ株は、この株が発見されてから、実に90年以上。
長年研究され続けている株で、数多くの効果が報告されています。
この2種類の株を比較すると、よく挙げられる主な特徴として
ny1301株……便秘を予防し、改善する
シロタ株……睡眠の質の改善
があります。
もちろんどちらの株にも、他に体にいい効果がたくさんあるんですよ!
便秘改善にはny1301株のほうが良い!「ピルクル」がおすすめ
ny1301株の「ny」は、この株を開発した「日清ヨーク株式会社」の頭文字。
「1301」は、乳酸菌の株を管理するための通し番号のようなものです。
「日清ヨーク株式会社」が開発した「1301」番の乳酸菌だから、「ny1301株」。
乳酸菌には一般的に腸内環境を整える効果があるとされていますが、ピルクルはヤクルトに比べて値段が安め。
気軽に「ゴクゴク」飲めてお財布にも優しいので、ある程度長い期間続ける必要のある便秘改善にお勧めです。
公式からアナウンスされている1日の摂取量の目安は65mlなので、それくらいを目安に飲みましょう。
睡眠改善にはシロタ株のほうが良い!「ヤクルト」がおすすめ
シロタ株は、ヤクルトの実質的な創業者でもあり、この株を発見した医学博士でもある写真の人物、「代田稔(しろたみのる)」先生にちなんでつけられた名前です。
代田先生が発見したから、「シロタ株」。
シロタ株は1930年に強化培養(※)に成功し、そこから90年以上研究されてきた菌です。
本当にたくさんの効果が発見されてきましたが、最近はシロタ株を含む飲料に、睡眠の質を改善する効果があることが話題になりました。
ただ睡眠の質を改善するだけでなく、心身にストレスがかかっている状態の人が、ぐっすりと眠ることができるという実験結果が出たんです。
何かとストレスの多い現代社会で、この効果は嬉しいですね。
(※)強化培養とは、もとになる乳酸菌を見つけた後、人の消化液に耐えて腸まで届くことができるよう、消化液に強い菌を選抜しながら鍛えることです。
消化液に似た液につけながら、その中でもしっかり繁殖できるよう鍛えるのですが、液が濃すぎると菌がなじめなくて死んでしまうし、薄すぎるといつまでたっても鍛えられないし、調整が結構難しいようです。
カゼイ菌とシロタ株の違いは?
冒頭で説明した通り、シロタ株はカゼイ菌の種類のひとつです。
生き物は全て、「生き物」という大きな集団から、遺伝子の特徴によって細かく仲間分けされています。
菌の中でも乳酸菌という仲間で、乳酸菌の中の「ラクチカゼイバチルス」という種類で、ラクチカゼイバチルスの中でも「カゼイ」という種類が、カゼイ菌。
カゼイ菌も「ny1301株」「シロタ株」などに分かれており、シロタ株はその種類のひとつです。
シロタ株とビフィズス菌の違いは?
菌の種類と、活躍する場所が違います。
シロタ株は乳酸菌の一種。
ビフィズス菌は、腸内環境を整えるのに役立つことは同じですが、乳酸菌とは違う菌です。
食べた(飲んだ)ものは、イラストの人の真ん中あたり……緑色で描かれている「胃」に入り、その下の茶色っぽく描かれている「小腸」、少しくすんだ青色で描かれている「大腸」を通りながら栄養を吸収され、最終的にカス……つまりうんちが「肛門」から排出されていきます。
胃からすぐに繋がる小腸で働くのが、シロタ株を含む乳酸菌。
その先の大腸、もっと言えば出口である肛門の近くの「S状結腸」「直腸」で働くのが、ビフィズス菌です。
どちらの菌も酸素が苦手なのですが、乳酸菌はビフィズス菌に比べると酸素に強いため、口や鼻から入った酸素が少し残っている小腸でも、比較的元気に活動・繁殖できます。
ビフィズス菌は本当に酸素が大嫌いで、小腸の更に先の大腸の中でもかなり奥の方、酸素がほとんど届かないところでしか活動・繁殖できません。
ピルクル400とヤクルト1000の違いとは?
ピルクルにも色々な種類がありますが、ピルクルといわれて思い浮かぶのは「ピルクル400」ではないでしょうか。
ヤクルトはスーパーなどでよく見かける「ヤクルト400」のほか、一時期品薄や売り切れが相次いで話題となった「ヤクルト1000」が有名です。
この記事では、「ピルクル400」と「ヤクルト1000」を比べてみます。
ピルクル400(65ml/本) | ヤクルト1000(100ml/本) | |
製造・販売 | 日清食品グループ | ヤクルトグループ |
成分(乳酸菌の種類) | ny1301株 | シロタ株 |
乳酸菌の量 | 約6億個/ml | 約10億個/ml |
価格(税別) | 32円/本 (5個パック) | 130円/本 (バラ売り) |
製造・販売元の違いのほか、ここまでご紹介してきた乳酸菌の株の違い、また値段や1mlあたりに含まれている乳酸菌の個数にも違いがありますね。
ヤクルトのシロタ株で乳がんになりにくい?
2013年に行われた疫学研究で、シロタ株を習慣的に摂取していると乳がんの発症リスクが35%ほど低くなることが証明されました。
疫学研究とは、特定の患者さん1人を研究するのではなく、「女性」「老人」「毎日〇時間以上テレビを見る人」など、特定の条件の集団を研究し、病気の予防や治療に役立てるためのもの。
つまり、シロタ株を習慣的に摂取している患者さん1人がたまたま……という話ではなく、習慣的に摂取しているグループと習慣的に摂取していないグループ、それぞれ大体数百人を比べて、「摂取しているグループの方が乳がんになりにくい」という結論が出たことになります。
これも、理由として考えられる要素はいくつかありますが、他の研究との組み合わせにより、
- 腸内環境を改善させて善玉菌を増やし、悪玉菌を減らすはたらきによって、悪玉菌の出す有害物質も減らしたため
- 腸内の発がん性物質をくっつけ、うんちと一緒に排出させる効果があるため
- がん細胞をやっつけるはたらきのある細胞を元気にするため
- がん細胞を増やすはたらきのある物質ができるのを防ぐため
……などが考えられているようです。
ヤクルトとピルクルの違い
ヤクルトとピルクルは、どちらも有名な乳酸菌飲料。
両方飲んだことのある方は多いと思いますが、色も味もそんなに大きな違いはありませんよね。
でも、先ほどご覧いただいた表からもわかる通り、それぞれに特徴があるんです。
ヤクルトとピルクル、代表的な製品をあげながら特徴を比べてみましょう。
なぜヤクルトはピルクルに比べて高いの?
1種類あたりの製品にかける研究開発費と、研究の歴史が価格に反映されているという考え方が有力です。
公式ホームページによると、「ヤクルト400」は1本あたり80円(税別)。
一方、「ピルクル400」は1本あたり32円(税別、5本パック)。
同じ400億個の乳酸菌が入っている飲料でも、実に2倍以上の値段の差があるんです。
理由について、もちろんそれぞれの会社の公式発表があったわけではありませんが、考えられる要素は3つ。
- 一般的にヤクルトの方が研究開発費が高く、売上高に占める割合もヤクルトの方が高い。
- ヤクルトの方が研究開発の歴史が長く、積み重ねてきた研究費やかけてきた手間隙も多い。
- 会社で見ると、ヤクルトの方が日清食品よりも製品の種類が少なく、1種類の製品あたりでみるとより多くの研究開発費をかけている。
研究開発費については、各社それぞれの年で若干の違いがあり、必ずヤクルトの方が多い・売り上げに占める割合もヤクルトの方が高いとは言えません。
会社全体の研究開発費(令和3年)を例に挙げて比較すると、日清食品はヤクルトの1.2倍程度です。
一方、現在日清食品の公式ホームページで紹介されている全商品の種類は、ヤクルトのおよそ5倍以上。
製品数は毎年大きくは変わらないと仮定すると、ヤクルトはこの年、製品1種類につき、日清食品の4倍程度の研究開発費をかけている計算になります。
さらにヤクルトは歴史が長く、シロタ株の強化培養から数えて100年近く。
ny1301株を開発し、ピルクルを作っている日清ヨークは今年で54年目なので、およそ2倍近い歴史の積み重ねがあるんです。
そう考えると、ヤクルトの方が価格が高くなってしまうのも納得ですね。
食品表示基準に基づく成分はほとんど変わらない
食品表示基準に基づく成分を比べてみましょう。
食品表示基準とは、「食品表示法」という法律に基づいて決められた、「人の口に入るものを売るときは、ここで決められている成分がどれだけ含まれているか、成分の名前と量をパッケージにはっきり書いてくださいね」と示す基準のこと。
それぞれ、1日の摂取量の目安とされている「容器1本ずつ」を基準とします。
(65ml/本) | ピルクル400ピルクル ミラクルケア (65ml/本) | (80ml/本) | ヤクルト400(100ml/本) | ヤクルト1000|
熱量・エネルギー(kcal) | 42 | 27 | 62 | 63 |
たんぱく質(g) | 0.8 | 0.9 | 1.0 | 1.5 |
脂質(g) | 0 | 0 | 0.1 | 0.1 |
炭水化物(g) | 9.8 | 5.8 | 14.4 | 14.1 |
食塩相当量(g) | 0~0.1 | 0.03 | 0~0.1 | 0~0.1 |
全体的にヤクルトの方が内容量が多めなためか、入っている成分量の値も高く出ていますね。
脂質・食塩の量はどれもほとんど同じです。
1日の摂取目安量に含まれる数値でみると、成分に際立った違いはなさそうです。
ヤクルトのほうがピルクルより乳酸菌の数が多い
1本あたりの乳酸菌の数を比べてみましょう。
(65ml/本) | ピルクル400(65ml/本) | ピルクル ミラクルケア(80ml/本) | ヤクルト400(100ml/本) | ヤクルト1000|
乳酸菌の数(個) | 400億個 | 600億個 | 400億個 | 1000億個 |
ピルクル・ヤクルトともに、名前の後ろについている数字を1億倍すると、含まれている乳酸菌の数になります。
「ピルクル ミラクルケア」に数字はついていませんが、公式ホームページに載っている数字を参考にしています。
乳酸菌が多い製品同士を比べてみると、「ピルクル ミラクルケア」に1.5倍以上の差をつけて、「ヤクルト1000」の勝ちという結果に。
「400」同士の乳酸菌の数に違いはありませんが、やはり4種類を並べてみると、「ピルクル400」の2.5倍・「ピルクル ミラクルケア」の1.5倍以上の乳酸菌を含む「ヤクルト1000」は圧倒的ですね。
どちらもトクホ(特定保健用食品)!
「ピルクル400」と「ヤクルト400」は、特定保健用食品=トクホに指定されています。
トクホとは、「からだの仕組みに基づいた機能に影響を与える成分を含み、食べる・飲むことによって何か特定の『いいこと』が起こると期待できますよ」という旨の表示ができる食品。
この場合の「食品」には、食べ物の他に飲み物も含みます。
人が元気にバンザイをしているようなトクホのマークを、皆様も一度は見たことがあるのではないでしょうか。
期待できる「いいこと」の内容は食品によって異なり、「ヤクルト400」と「ピルクル400」は、どちらも「腸内の環境を改善し、おなかの調子を整える」という内容です。
トクホは勝手に名乗れるわけではなく、食品ごとに有効性・安全性について国の審査を受け、許可を得なければなりません。(健康増進法第43条第1項)
「ピルクル400」「ヤクルト400」ともに、いい効果の期待できる安全な食品として、国に認められているんです。
ちなみに「ピルクル ミラクルケア」と「ヤクルト1000」は、機能性表示食品。
国の定めるルールに基づき、科学的な根拠などを添えて届出をすれば、許可がなくても「こんな内容の、いい効果がありますよ」とパッケージに表示できます。
国の許可がないから劣っているのか……というと、そうでもありません。
会社が自分の製品に責任を持つのは当たり前ですが、機能性表示食品は国の許可がいらない分、科学的な根拠も含めて効果を調べ、証明し、表示する……という判断と責任のすべてがその会社にかかっているからです。
お客様に信頼していただくために、正しいデータを使って、十分な効果があると証明しなければいけないんです。
トクホは「国のお墨付き」、機能性表示食品は「それぞれの会社のお墨付き」。
どちらも、しっかりした根拠に基づき、健康への効果を期待できる証です。
まとめ
乳酸菌ny1301株とシロタ株の違い、またこの2種類が含まれている乳酸菌飲料、ヤクルトとピルクルの違いを比較させていただきました。
どちらの乳酸菌、どちらの飲料も、それぞれの会社の研究努力と熱意を背負った、おいしくて優しい現代人の味方です。
体の調子に合わせて、上手に活用してみてくださいね。
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